しっしーのお計算ん向上委員会

計算の解説に究極特化してます。計算は、すっごくたのしい遊びだよ!!

数十年前だったら・・・?

2019年東大理系にて定積分計算が大問丸ごとで出てましたが、もしも

全盛期の80~90年代にて同じ出題形式の元で出題されたら?

というコンセプトです。

 

出題する問題はこちら!!

 

f:id:manaveemath:20190604120819j:plain

 

この定積分を求めてみて下さい。

 

この問題は大きく分けて5つのstepがあります。

 

ただし、チャレンジャーへのネタバレ防止策を設けています。

 

例えばstep2がダメだったけどstep3からは自力で解いてみたい、そんな人のために各step毎にやりすぎなくらい改行しています。

 

なので分かんなかったところは見てそっから先にまたチャレンジすることができます。

 

それでは解説していきます。

 

・・・で、イキナリ越えなければならないハードルがあるというね。

 

step1

f:id:manaveemath:20190604125831j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、x4 + 1 が実は因数分解できると気づけなければ即outです。

 

というのもイキナリ t = x2 とおいて置換積分すると詰んでしまいます。

 

さて、x4 + 1 、どう因数分解しましょう。

 

こんな因数分解をさせられませんでしたか?

 

f:id:manaveemath:20190604125850j:plain

 

ムリヤリ ( x2 + 〇 )2 - △2 の形を作って因数分解しましたがまさに左辺のような式を複2次式といいます。

 

なので

f:id:manaveemath:20190604125906j:plain

することを検討します。

 

今回は p = 0 , q = 1 です。

 

x4 + 1 をいじってなんとか ( x 2 + 〇 )2 を作れないかと考え、このように変形します。

 

f:id:manaveemath:20190604125916j:plain

 

したがって、被積分関数

f:id:manaveemath:20190604125931j:plain

と変形できます。

 

次に、式①の右辺をヨビノリ今週のせきぶん#28でやったみたいに分分、そして

f:id:manaveemath:20190604125944j:plain

を満たすA,B,C,Dを求めます。

 

右辺を通分する、という段階で次のstepに入ります。

 

step2

f:id:manaveemath:20190625100439j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:manaveemath:20190625100455j:plain

が成立するのでA,B,C,Dについての4元1次連立方程式

f:id:manaveemath:20190604130059j:plain

を解きます。

 

…え、まさか見ただけで戦意を失ったなんてことありませんよね。

 

たかが連立方程式でやる気無くしたらダメですよ。

 

たとえ文字がいくらあろうと、1文字消去を心がければ必ず解けるのです。

 

f:id:manaveemath:20190604130112j:plain

 

後は右辺を整理します。

 

f:id:manaveemath:20190604130127j:plain

 

頑張ればみんなここまで辿り着くでしょう。

 

しかし、α、βの値が分からなくて詰んだ、何となく予想できるけど論証出来ない人がたくさんいるでしょう。

 

はい、間違いなくここが今回の積分その最難関ポイントです。

 

step3

f:id:manaveemath:20190604130156j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと考えてほしいことがあります。

 

三角関数で弧度法を習いましたがその弧度法で良く出てくる、あるいは代入することでキレイな値になるものを列挙してみて下さい。

 

するとここらへんが出てくると思います。

 

f:id:manaveemath:20190604130209j:plain

 

もしもα、βが全っっっっったく使わない値だった場合、tan α 及び tan β を手計算で求めることは不可能です。

 

その場合、予め問題文でどんな値かが与えられるはずです。

 

またはその値を文字のまま計算することが許されます。

 

が、今回はそういった注釈はありません。

 

ということは、αとβはともに

出現頻度は多くないが全く見ないことはない

値だろうと推測出来ます。

 

で、それはどんな値でしょうか?

 

Nを自然数としてここらへんが候補に挙がります。

 

f:id:manaveemath:20190604130227j:plain

 

これらは特定の問で出てくる値で、値こそキレイではないものの手計算で何とかなるレベルです。

 

なのでα、βはそういう値なのだろう、と考えます。

 

N / 8 、N / 12 は2、3、4、6倍するとよく見る弧度法の値になるので

f:id:manaveemath:20190604130239j:plain

前提で話を進めます。

 

そうでもなければ絶対にノーヒントで解けませんから。

 

結論から言うと幸い、N = 2 を代入すると目的の値が求まります。

 

あと3、4、6倍角はキツすぎるのでせいぜい2倍角じゃないか?という常識的予想をすることも出来ます。

 

ではでは、 tan 2α 、tan 2β の値を求めましょう。

 

f:id:manaveemath:20190604130252j:plain

 

・・・なんと、 tan α 、tan β だと汚い値だったのに tan 2α 、tan 2β だと 1、-1というキレイな数字が出てきました。

 

後はα、βの範囲に注意してそれぞれ求めます。

 

f:id:manaveemath:20190604130308j:plain

 

以上の議論から

α = π / 8 、β = 3π / 8

が得られました。

 

ここまで到達出来れば後はミスをしないかの戦いとなります。

一気に突っ走ってまいりましょう。

 

step4

f:id:manaveemath:20190604130324j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:manaveemath:20190604130338j:plain

 

こうしてI、Jが求まりましたので ( I - J ) を求めます。

 

step5

f:id:manaveemath:20190604130356j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、メークアップとは答えを簡潔でエレガントな見た目になるよう変形することです。

 

f:id:manaveemath:20190604130407j:plain

 

こうして答えが得られました。

 

それで正解です。

 

が、真数は分数だし根号もあります。

 

なのでこれから答えを変形して美しくメークアップします。

 

f:id:manaveemath:20190604130425j:plain

 

実は、答えを求める途中で出てきた真数は、2重根号を外せるようになってたんですねー。

 

てことで数式メイクアップアーティストたる私の手にかかるとこうなります。

 

f:id:manaveemath:20190604130442j:plain

 

 

 

以下、特定箇所の具体的な計算です。

 

f:id:manaveemath:20190604130458j:plain

 

f:id:manaveemath:20190604130512j:plain

 

f:id:manaveemath:20190604130528j:plain

 

f:id:manaveemath:20190604130544j:plain

 

f:id:manaveemath:20190604130601j:plain