しっしーのお計算ん向上委員会

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因数分解

前回、例えば ( x + 3 )( x - 4 ) = x2 - x - 12 のように式を展開することを学びました。

 

今回は逆に x2 - x - 12 を

(多項式)×(多項式)の形に変形します。

 

このように多項式をいくつかの因数の積として表すことを、その多項式因数分解するといいます。

 

といってもおそらく「因数とは何か?」と思っているでしょうからまずは因数の説明をします。

 

上に式 ( x + 3 )( x - 4 ) = x2 - x -12 を書きました。

 

これは x2 - x - 12 を、 x + 3 と x - 4 の積で表している、と言えます。

 

このとき x + 3 と x - 4 を x- x - 12 の因数と言います。

 

数についても因数を考えることができます。

 

例えば、6は 6 = 2 × 3 と表せるから2と3は6の因数です。

 

一般化すると数または式であるXについて、Xが○と△を掛け合わせて出来るとき、○や△を、Xの因数といいます。

 

x2 - x - 12 は x + 3 と x - 4 を掛けてできます。

 

6は2と3を掛けてできます。

 

ですから x2 - x - 12 の因数は x + 3 と x - 4 で、6の因数は2と3です。

 

 

式 ma + mb + mc について、数 ma の因数はmとaです。

 

mbは m と b 、mcは m と c です。

 

したがって、

ma + mb + mc = m × a + m × b + m × c

が成り立ちます。

 

多項式 ma + mb + mc の各項には共通な因数mがあります。

 

それをかっこの外にくくりだして式を因数分解することができます。

 

すると

ma + mb + mc = m( a + b + c )

です。

 

算数で分配法則 ○( △ + □ )=○ × △ + ○ × □ をやりました。

 

今までは左辺から右辺に変形しました。

 

ですが因数分解では逆に右辺を左辺に変形します。

 

例:x2 + 2xy を因数分解する

多項式 x2 + 2xy は x2 と 2xy の和です。

 

まずは x2 と2xyの因数を求めてみましょう。

 

x2 はxとxを掛け合わせた数です。

 

したがって xの因数はxとxです。

 

2xy は 2 と x と y を掛け合わせた数だから 2xy の因数は 2 と x と y です。

 

よって

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であり、2つの項 x2 、2xy には共通な因数 x があります。

 

それを取ります。

 

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よって x2 + 2xy = x( x + 2y ) と因数分解できます。

 

 

今度は 3ax + 6ay です。

 

3ax = 3 × a × x  、 6ay = 2 × 3 × a × y ですから 3ax と 6ay の両方から 3 と a を取ります。

 

すると 3ax の方には x 、6ay の方には 2y が残ります。

 

これらを足した ( x + 2y ) と3a をかけて

3ax + 6ay = 3a ( x + 2y )

となります。

 

3ax = a × 3x 、 6ay = a × 6y とみなして

3ax + 6ay = a ( 3x + 6y )

因数分解できます。

 

しかし、3x + 6y の項 3x、6y には共通な因数 3 があります。

 

それでは完全に因数分解したとは言えません。

 

式X=○ ( △ + □ )と変形したときに、△と□に共通因数が存在しないようにしなければなりません。

 

 

次は式の展開に出てきた展開の公式(下の4つ)を因数分解します。

 

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① ( x + a )( x + b ) = x2 + ( a + b )x + ab

x2 + 5x + 6 を因数分解しましょう。

 

まず x2 + ( a + b ) x + ab と見比べてみます。

 

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すると a + b = 5 、ab=6 だから和が5、積が6になる数 a , b を見つければokです。

 

ではどうやって見つけるのでしょうか?

 

小学2年生の時に九九をやったこと、覚えているでしょうか?

 

お風呂から上がる前に「いんいちがいち、いんにがに、・・・、くくはちじゅういち」と呪文みたく唱えませんでしたか?

 

今までは ○ × △=□、つまり「○に△を掛けると何になるか?それは□」としました。

 

ですが、因数分解では逆に □ = ○ × △ 、すなわち「□は○と△をかけたものである」と考えます。

 

まず、ab = 6 を満たす数 a , b の組み合わせを探します。

 

九九を思い出してみて下さい。

 

すると

1 × 6 = 6 , 2 ×  3= 6 , 3 × 2 = 6 , 6 × 1 = 6

が出てきます。

 

つまり、ab = 6 を満たす2つの数は 1と6、2と3 です。

 

今度は a + b = 5 、つまり ab = 6 を満たす数 a , b を足します。

 

( a , b ) = ( 1 , 6 )では 1 + 6 = 7 、

これは a + b ≠ 5 なので違います。

 

( a , b ) = ( 2 , 3 ) では 2 + 3 = 5 、

これは a + b = 5 を満たします。

 

よって a + b = 5 , ab = 6 を満たす2つの数 a , b は2と3であることが分かりました。

 

( x + a )( x + b ) の a , b に 2 と 3 を代入して

x2 + 5x + 6 = ( x + 2 )( x + 3 )

となります。

 

次は x2 + x - 6 を因数分解してみましょう。

 

まずは a + b = 1 , ab = 6 を満たす a , b を見つけます。

 

ab = -6 より ab は負の数です。

 

よって a , b のどっちかは負の数です。

 

a , b は整数として a × b = -6 になる数の組を探します。

 

すると ( a , b ) は

( a , b ) = ( 1 , -6 ) , ( -1 , 6 ) , ( 2 , -3 ) , ( -2 , 3 )

であることが分かります。

 

その4つの組のうち、足して和が1になるのは

 ( a , b ) = ( -2 , 3 )

 です。

 

これを ( x + a )( x + b ) の a , b に代入して

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因数分解できます。

 

②  ( x + a )2 = x2 + 2ax + a2

③  ( x - a )= x2 - 2ax + a2

 

x2 + 10x + 25 を因数分解します。

 

x2 + ○x + △ の因数分解ではまず△を見ます。

 

△=□であり、かつ ○xの ○ が偶数であるとき、②の使用を考えます。

 

定数項の 25 = 52  です。

 

今度は 10x の 10 = 2 × 5 であり、

x2 + 10x + 25 = x2 + 2 × 5 × x  +52

です。

 

( x + a )2 = x2 + 2ax + a2 と見比べると a = 5 であることが分かります。

 

よって x2 + 10x + 25=( x + 5 )2 です。

 

次は x2 - 8x + 16 を因数分解しましょう。

 

16 = 42 , 8 = 2 × 4 だから

x2 - 8x +16 = x2 - 2 × 4 × x +42 ,

( x - a )2 = x2 - 2ax + a2

とを見比べます。

 

結果、x2 - 8x +16 = ( x - 4 )2  となります。

 

④ ( x + a )( x - a ) = x2 - a2

 

x2 - 25 を因数分解します。

 

x2 + ○x + △の △=-□になっているが ○x の ○ = 0 の場合、③の使用が考えられます。

 

25 = 52 ですから x2 - 25 = x2 - 52  です。

 

( x + a )( x - a ) = x2 - a2 と比べて a = 5 を代入、

x2 - 25 = ( x + 5 )( x - 5 )

となります。

 

以上、展開の公式を用いた因数分解を紹介しました。

 

最後にどの公式を使うかの見分け方を紹介します。

 

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