三平方の定理とその利用
ついに中学数学最後の単元がやってきました。
ピタゴラスとは昔、ギリシアにいた数学者ピタゴラスのことです。
NHKの番組「ピタゴラスイッチ」もピタゴラスからとられているそうです。
私が高校2年生のときの学祭で、とあるクラスでピタゴラスイッチみたいな出し物をしていてその題名は担任の名前を使った「イザゴラスイッチ」でした。
私が数学を齢26になって未だに続けているのはその先生のおかげでもあります。
自分の勝手な都合ですけど感謝の旨を申し上げにまたお会いできないかなぁ…。
的な余談はここまでにしておいて。
「ピタゴラスの定理」と聞いて頭の中に
a2 + b2 = c2
という式が浮かんだのではないでしょうか。
まさにその式がピタゴラスの定理の主役といえるもので、直角三角形ABCの底辺をa、高さをb、斜辺をcとしたときに成り立つ式です。
直角三角形ABCであって三角形ABCではありませんよ。
では、なぜ a2 + b2 = c2 となるのでしょうか。
その理由を説明します。
まず、正方形ABCDをかきます。
また、AE = BF = CG = DH = a とします。
さらに、EB = FC = GD = HA = b 、EF = c とします。
すると塗りつぶした4つの三角形について、四角形ABCDは正方形より ∠A=∠B=∠C=∠D = 90° であること、2つの下線部より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいことが言えるので4つの三角形は合同です。
よって EF = FG = GH = HE = c となります。
正方形ABCDの面積は ( a + b )2 です。
しかし、正方形ABCDの面積は正方形EFGHの面積と底辺が a 、高さが b である4つの直角三角形の面積を合わせたものでもあります。
このことを数式で表現します。
よって、
三平方の定理を用いて、下の直角三角形の辺BCの長さを求めてみましょう。
他の直角三角形でも同様にして辺の長さが求まりますが、上の2つの三角形は、さらに角度まで分かります。
つまり、a : b : c = 1 : 1 : √2 のとき△ABCは1つの角が 90° の直角二等辺三角形であり、
a : b : c = 1 : √3 : 2 であるとき3つの角が 30°、60°、90° である直角三角形です。
三平方の定理は、直角三角形が座標平面上にあるときも使えます。
Aの座標を ( x1 , y1 ) 、Bの座標を ( x2 , y2 ) とします。
三平方の定理より、BC2 + AC2 = AB2 です。
BC = x1 - x2 、AC = y1 - y2 より
( x1 - x2 )2 + ( y1 - y2 )2 = AB2
となります。
両辺について平方根をとると AB > 0 より
AB=√ { ( x1 - x2 )2 + ( y1 - y2) }2
です。
まとめると下の通りです。
2点 A ( 5 , 4 ) 、B ( -1 , -3 ) 間の距離を求めてみましょう。
直角三角形ABCを作ると下の通りです。
以上、中学数学は全て取り上げました。
初めの方からご覧になった方も最近になってご覧になった方、その皆様に感謝の意を申し上げたところで社会人のための中学数学教科書、これにておしまいとさせていただく…にはまだ早い!!
なぜ早いのかって?
アレをまだ説明していないからではないか。
アレとは何かって?
一部の方、そして算数を習ってる小学生の何人かがいだいてるであろう、人によっては算数最大級の疑問だ。
なぜ、算数では正三角形の面積を求めないのか?
コイツを解き明かさないことには終われない。
今やった三平方の定理を用いてナゾを解明しようではないか。
今まで説明する際にはなるべく具体的な数を用いたが、数学では大抵、一般化されたことがらを説明するために抽象化して文字で話は展開されていく。
だから少しキツいかもしれないが、文字をバンバン使うことにする。
正三角形ABCの1辺の長さを a ( a > 0 ) とする。
以上から、1辺の長さが a である正三角形の面積は (√3/4) a2 であることが示された。
(√3 / 4)a2 = √3/4 × a × a であり、文字を使うことは小学6年でやるのだが、√3 といった無理数は習わない。
公式通りに面積を求めると算数では出てこない、中学数学で初めて登場する数が顔を出す。
そしてそもそも三角形の合同や平方根などの知識が要求される代物である。
といったやむを得ない裏事情があるから、
算数では正三角形の面積を求めないのだ。
これにて本当に中学数学のレクチャーは終了です。
貴重な時間を割いてご覧いただき、本当にありがとうございました!!