三角形
前ページで証明の何たるかを学びました。
それらを用いて三角形について何が言えるかを調べてみましょう。
初めに二等辺三角形について説明します。
二等辺三角形とは、
2つの辺が等しい三角形
のことです。
「2つの辺が等しい三角形」のように、言葉の意味をはっきりと述べたものを定義といいます。
ではさっそく、二等辺三角形の定義をもとにして、「二等辺三角形の2つの角は等しい」ことを証明してみましょう。
下の三角形ABCでAB=ACならば∠B=∠Cであることを導ければOKです。
二等辺三角形で、長さの等しい2つの辺の間の角を頂角、頂角に対する辺を底辺、底辺の両端の角を底角といいます。
上の証明はAB=ACであればどのような三角形ABCについても当てはまります。
つまり、どんな二等辺三角形であっても底角は等しくなります。
「二等辺三角形の底角は等しい」「三角形の内角の和は180°である」などの性質は図形の性質を証明するときの根拠としてよく使われます。
このような、証明されたことがらのうちで、大切なものを定理といいます。
例えば、二等辺三角形では次の2つが定理として扱われます。
今度は正三角形です。
正三角形の定義は、
「3つの辺が等しい三角形のことである」
です。
それをもとに、正三角形の3つの角は等しいことを証明します。
三角形ABCについて、定義から
AB = BC = CA
という仮定が得られます。
それから結論として∠A = ∠B = ∠C を導ければよいですから・・・
この証明から、
定理「正三角形の3つの角は等しい。」
が得られます。
・・・その定理から正三角形の1つの内角が何度かが分かるのですが、それは読者であるあなたにおまかせしましょう。
先程「三角形の2辺が等しいとき、2つの角は等しい」ことを証明しました。
では逆に、「2つの角が等しい三角形の2辺は等しい」と言えるでしょうか?
ということでその証明をしてみましょう。
そのためには
「三角形ABCにおいて∠B=∠CならばAB=AC」
を示します。
したがって、二等辺三角形になるための条件について次の定理が得られます。
定理:三角形の2つの角が等しければ、その三角形は等しい2つの角を底角とする二等辺三角形である。
ここで、
下の三角形ABCにおいて、上の①、②はそれぞれ
この①と②とを見比べると、仮定と結論が入れかわっています。
このように、ある定理の仮定と結論を入れかえたものを、その定理の逆といいます。
図形に関すること以外に、数式に対してもいえます。
例えば「 x ≧ 4 ならば x > 3」の逆は
「 x > 3 ならば x ≧ 4 」です。
で、「 x > 3 ならば x ≧ 4 」は正しいでしょうか?
x=5 は x > 3 及び x ≧ 4 を満たします。
しかし、x=3.14だと x > 3 を満たしますが x ≧ 4 は満たしません。
x=5 だと正しくても x=3.14 は正しくありません。
ですから、「x > 3 ならばx ≧ 4 」は常に正しいとは限りません。
このように、あることがらが成り立たない例を反例といい、「x > 3 ならば x ≧ 4」における反例のひとつは x=3.14です。
つまり、正しいことの逆はいつでも正しいとは限りません。
したがって、ある定理の逆について正しいことをいうためには、改めてそのことを証明する必要があります。
最後に、直角三角形について説明します。
直角三角形において、直角に対する辺を斜辺といいます。
直角三角形について、三角形の合同条件の他に以下の2つの合同条件を使うことができます。
鋭角とは、1つの角の角度が0°より大きく90°より小さい角のことです。
また、90°より大きく180°より小さい角のことを鈍角といいます。