反比例
家と会社との間の距離が20kmだとします。
また、車を時速xkmで走らせ、会社に着くのにy分かかるとします。
(速さ) × (時間)=(道のり) ですからxとyについて、
xy = 20
が成り立ちます。
したがって、yをxの式で表すと y = 20 / x です。
ただし x ≠ 0 です。
常に、一定の速さで車を走らせるとして、どのくらいの速度で走るかを決めれば所要時間は一意に定まります。
よって所要時間は、走行速度の関数といえます。
ここで、yがxの関数で、 y = a/x という式で表されるとき、yはxに反比例する、といいます。
反比例は「はんぴれい」と読みます。
比例と同じように、反比例でも定数aを比例定数といいます。
上の y = 20/x は、 y = a/x の形で表されていますからyはxに反比例します。
また、比例定数は20であり、それは家と会社との間の距離です。
y = 20/x のxに様々な値を代入してみましょう。
上の表の通り、xが2倍、3倍、…となればyは1/2倍、1/3倍、…となります。
次は y = -18/x のxにいろいろ代入します。
比例定数が負の値のときもxが2倍、3倍、…となればyは1/2倍、1/3倍、…となります。
したがって、反比例 y = a/x においてaが正の数のときxが2倍、3倍、…となればyは1/2倍、1/3倍、…と変わります。
aが負の数の時も同様です。
今度は反比例のグラフを図示してみましょう。
y = 20/x において、 y = 20/x を満たす x , y の値の組を座標とする点を書き込みます。
すると、点の集まりはなめらかな2つの曲線を描きます。
では比例定数が負の時はどうなるでしょうか。
y = -6/x のグラフを描いてみます。
反比例のグラフ y = a/x について、aを定数とすると y = a/x のグラフは、なめらかな2つの曲線になります。
その2曲線のことを双曲線といいます。
y = a/x のグラフは a > 0 または a < 0 かによってグラフは異なります。
それでは、反比例 y = a/x と (時間)=(道のり)÷(速さ) を用いて特に飲食業界で働いてる方々の共通の問
どうすれば、より早くお客様にサーブ出来るか?
への答えを出しましょう。
初めに(時間)=(道のり) ÷ (速さ)を変形して
(時間)=(道のり) / (速さ)
とします。
これは y = a/x と同じ形です。
よって
(時間)=y(y>0) , (速さ)=x(x>0) , (道のり)=a (a>0) です。
早くサーブすることは、所要時間を短くすることと同じです。
よって、 y = a/x のyの値が最も小さくなれば良いです。
(速さ) = x が小さいと遅く、大きいと速いです。
しかし作業が速すぎると品物の質が下がったり(見栄えが悪い、分量が守られていないetc.)、事故が起きてしまいます。
だからxの値には限りがあります。
できるだけ速く、でも事故らないように…と考えて決めた速さを xB とします(B=BEST の意味)。
(道のり)=a は、腕や脚の動線によって長くなったり短くなったりします。
その値を a1 , a2 , a3, … , an とします。
また、 a1< a2 < a3 < ⋯ < an です。
すなわちnの値が小さい程、動線は短いです。
また、 3/2 = 1.5 , 4/2 = 2 , 5/2 = 2.5 のように、分母が同じ時は分子の値が小さいほど右辺の値は小さくなります。
よって、この不等式が成立します。
したがってグラフを図示すると下の通りです。
xは色んな値をとりますが、先程 x=xB としました。
よって
a1/xB , a2/xB , a3/xB , … , an/xB
の中で最も小さい値は a1/xB です。
よって y= a1 / xB のときyは最小です。
a1 , a2 , a3 , … , an の中で道のりが最小なのは a1 です。
以上から、速さに個人差はあるものの、品物をより早くお客様にサーブするには、
腕や脚の移動距離が最短になれば良い
このように、数学は社会に出たら使えないのではない、使えるのだ。