文字を使った式
今までは数字だけを扱いました。
これからは、1 , -3 , 0.5 , (-1/3) といった正、負の整数、小数、分数に加えて a , b , x , y といったアルファベットを用いて数を表していきます。
文字を使うと、より多くの意味を表すことができます。
例えばあなたの月収が 25 万円だとしましょう。
すると年収は(月収 25 万)×( 12 か月)より250000×12=3000000、
つまり年収=300万円です。
勤務期間が3年ならば(年収300万)で3000000×3=9000000、3年働いて900万円の収入を得ることになります。
3000000×1は(年収300万)×(1年)、3000000×3は(年収300万)×(3年)を表します。
しかし、あくまで1年、3年働いてどのくらいもらえるか?という情報しか得られません。
1年3年に限らず、?年働いたら収入はなんぼなのか、を知りたいなら文字を使うのです。
?年働いてもらえる金額は次のように表せます。
総収入=(年収300万)×(勤務年数)
右辺の「勤務年数」に 1 や 3 、40 などが入ります。
それを文字aで表すと総収入=3000000 × a となります。
aに 1 , 2 , 3 , … , 39 , 40 , … を当てはめるとa年間働いて得られる総収入が求まります。
つまり、1年間働いたら、3年間働いたら…といった、一部の場合だけを考えるのではありません。
全ての場合を考える、すなわち一般化する際に用いるのが文字を使った式、また別の名を文字式というのです。
その文字式の表し方には決まりがあります。
文字と数の積とでは、数を文字の前に
先程、総収入=3000000 × aと書きました。
これは総収入が数 3000000 と文字aとの積だから、決まり1に従って 3000000 を前にしてaを後ろにしています。
このaをアルファベットの「エックス」にすると
早い話が数学で使う文字エックスは
X JAPAN のX ではなくプロジェクトX のX
です。
文字の混じった乗法では、記号×を省く
つまり、3000000 × a の「×」を省いて
(総収入) =3000000 × a = 3000000a
です。
文字が複数あるときは、アルファベット順に並べる
例えば文字 a , b , c をかけて得られる答えは bac やacb ではなく abc と書きます。
2 × x × a ならば、2xa でも a2x でもなく、2ax と書きます。
余談ですが、定期テストで「 l × n × m を文字式の表し方に従って表しなさい」という問が出ました。
文字式を習うのが中1の1学期、つまりアルファベットを習って1ヵ月ちょいしか経っていません。
ですから正しい並び方が lmn であることを思い出せなくて正解できなかった人がいた、という笑い話がありました。
※ 1や負の数と文字との積は下のように表します。
1 × a = a
(-3) × a = -3a
(-1) × a = -a
小学校で立方体の体積は (一辺) × (一辺) × (一辺) で求められる、と習いましたが(今は小学5年の1学期あたりでやるみたいです)、その一辺をaとすると
(体積)=a×a×a
と表せます。
しかし、上の式は累乗の指数を用いるともっと簡単になります。
a ×a ×a =a3 より、(体積)=a3 です。
文字が複数あっても同じように出来ます。
x × x × x × y × y の場合、x × x =x2 , y × y × y =y3 より
と計算します。
今まで文字式の掛け算について見てきました。
では足し算、引き算ではどうなるでしょうか。
これらは正負の数での計算と同じようにして出来ます。
例えば
となります。
最後に残った割り算はどうでしょうか。
例えば a ÷ 9 。
これは ÷9 → ×(1/9) に直して
とします。
x ÷ (-2) ならば下の通りです。
つまり、文字の混じった除法では、記号 ÷ を使わずに、分数 (y/x) の形で書きます。
年収300万でa年働いて得た総収入は 3000000a です。
そのaに 1 , 2 , 40 などの数におきかえることを、文字にその数を代入する、と言います。
代入して計算した結果を、そのときの式の値といいます。
a = 3 のとき 3000000a の値は、aに3を代入して 3000000 × 3 = 9000000 、よってa=3のときの式の値は 9000000 である、と言えます。
代入する値によっては ( -x ) が正の値をとることがあります。
x=2 のときの式の値は x に 2 を代入して -2 、つまり負の数です。
しかし x = -3 のときの式の値は x = -3 を代入して -(-3) = 3 、つまり正の数となります。